○10月以降どのように変わるのか
【簡易課税方式を選択している場合】
仕入や経費などの支払いに対して受け取る請求書やレシートがインボイス要件を満たしている必要はありません。支払先がインボイス登録をしていても、していなくても、消費税納税額に差はありません。
【原則課税方式を選択している場合】
仕入や経費などの支払いに対して受け取る請求書やレシートがインボイス要件を満たしているかどうか、1つ1つ確認する必要があります。支払先がインボイス登録をしていなければ、今まで全額控除してきた消費税が8割しか控除できなくなります(3年間の経過措置※)ので、支払先がインボイス登録をしているか、していないかで消費税納税額だけでなく、当期の利益にも差がでることになります。
注)基準期間の課税売上高が1億円以下等の事業者については、1回の取引の課税仕入が 税込1万円未満の場合はインボイスがなくても帳簿に記載するだけで全額控除できる措置が6年間設けられました。
※ 3年間の経過措置:令和8年9月30日を含む事業年度まで
例 インボイス登録をしていないAさんに外注費 1,100,000円を支払った場合
9月まで 控除できる消費税:1,100,000×10/110=100,000円
10月以降 控除できる消費税:1,100,000×10/110×0.8=80,000円
→ 100,000-80,000=20,000円(1,000,000×2%)納税額が増える
支払先がインボイス登録をしていないと、同額の支払に対して消費税納税額が税抜 支払額の2%増えると同時に、経費が2%増えることになります。
現在免税事業者である場合は、インボイス登録をした後、3年間(上記※参照)は売上にかかる消費税の2割を納税すればよいという経過措置が設けられています。
上記の例でいうと、Aさんがインボイス登録をされなければ外注費を支払う側の消費税 納税額と経費が20,000円増えますが、インボイス登録をされれば、Aさんがこの取引に 関して税務署に支払う消費税は20,000円(1,100,000×10/110×0.2)になり、外注費を支払う側は今まで通り全額控除できます。Aさんがインボイス登録するかしないかで、 どちらかが20,000円を負担することになりますね。
外注先等にインボイス登録をしてもらうように促したり、価格の折衝をする際は下請 法に留意して、一方的な通告をしないなどの注意が必要です。
※このコラムは2023年7月18日現在の法令等によっています
-経営Quarterly 2023/7/18号(206号)より抜粋-
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