年末調整 今年の改正点をお知らせします -基礎控除増額と特定親族特別控除などに注意- vol.1
- 税理士法人リライオン
- 10月23日
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今年の年末調整では年収の壁に関する税制改正をふまえた改正点が多いため、注意が必要です。従来は「扶養に入れるのは給与103万円まで」でしたが、今年は「扶養に入れるのは給与123万円まで」になります。
また、「給与収入160万円までの方は所得税がかからない」仕組みになりました。個人住民税については基礎控除の引き上げは行われないため、住民税は給与収入が110万円を超えると課税されます。
「特定親族特別控除」は新しい概念であり、年齢19歳以上23歳未満の親族で控除対象者に該当する場合は「特定親族特別控除申告書」(基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の用紙に1項目加わります)を提出する必要があります。
令和8年分の扶養控除等申告書には特定親族も記載します。
【今年の年末調整で適用される所得税改正】
1 基礎控除の引き上げ(改正前は所得2,400万円までは一律48万円)
合計所得金額132万円(給与収入200万円相当)以下の方は、基礎控除が95万円になります。合計所得金額132万円超~655万円以下の方は段階的に基礎控除が63万円まで減額され、655万円~2,350万円以下は58万円になります。合計所得金額2,350万円超については従来通りです。
令和9年分以降、合計所得金額132万円を超える方の基礎控除は減額される予定です。
2 給与所得控除の引き上げ
給与所得控除の最低保障額が現行の55万円から65万円に上がり、給与収入190万円までの方は65万円が控除されることになります。
3 扶養親族や配偶者などの所得要件緩和
配偶者控除の対象となる同一生計配偶者や、扶養控除の対象となる扶養親族の合計所得金額要件が改正され、58万円以下(給与収入では123万円以下)が控除対象となります。
配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は133万円以下(給与収入では202万円未満)で従来と変更ありません。
4 特定親族特別控除の創設
特定親族とは、所得者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、事業専従者を除く)で合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入では123万円超188万円以下)の人をいいます。合計所得金額が58万円以下の場合は扶養親族であるため、従来からの「特定扶養親族控除」が受けられます。
特定親族特別控除を満額(63万円)受けることができるのは合計所得金額85万円以下(給与収入150万円以下)の方で、それを超えると段階的に控除額が減少します。
今回の年末調整では、この「特定親族特別控除」を受けることができることを従業員に周知して、扶養控除等申告書と「特定親族特別控除申告書」に該当者を記載してもらうことが必要になります。
○生計を一にする19歳以上23歳未満の親族を有する場合に受けられる控除
※国税庁パンフレット(令和7年分年末調整のしかた)より

特定親族特別控除は重複適用はできません。
・1人の方が2人以上の所得者の特定親族になることはできません。
・特定親族に該当する親族が、他の所得者の配偶者特別控除の対象となる配偶者にも該当する場合には、どちらか一方の所得者しか控除を受けることはできません。
・親族の双方がお互いに適用を受けることはできません(どちらか一方のみ)。
vol.2へ続きます
このコラムは2025年10月16日現在の法令等によっています。
-Quarterly Topics 2025/10/16号より抜粋-




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