父母や祖父母から子や孫に贈与する場合には、暦年課税か相続時精算課税制度かを選択することができますが、今年から相続時精算課税制度に「基礎控除」の制度が創設され、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額年110万円が控除されます。
同時に、暦年課税は今年の贈与から相続時に相続財産に加算する必要がある贈与の対象期間が相続前7年間に延長されています。
暦年課税は相続前の一定期間は基礎控除部分も含めて贈与した財産全額を相続財産に加算する必要がありますが、相続時精算課税制度では基礎控除部分は加算しないしくみになっていますので、制度を利用するメリットが増えたと言えるでしょう。
○相続時精算課税制度のしくみ
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子供または孫への生前贈与が行われた場合に累計2,500万円までは贈与税がかからないという制度です。但し、相続時には贈与した財産を贈与時の価額で相続財産に加算する必要があります。一度選択したら暦年課税には戻れません。相続時精算課税制度を利用する場合は、選択する最初の贈与の翌年の3月15日までに相続時精算課税制度選択届出書の提出が必要です。
○相続時精算課税制度と暦年課税の併用
父母2人からどちらも暦年課税で贈与されると合計で年110万円までしか非課税枠がありませんが、例えば父から相続時精算課税制度、母からは暦年課税で贈与を受けると、両方で別々に110万円の基礎控除(非課税枠)を使うことができます。
○相続時精算課税制度の選択は慎重に
使いやすい制度になりましたが、この制度を利用して贈与した宅地には小規模宅地等の特例が使えないなどのデメリットもありますので、選択を検討される場合は事前に税理士(弊法人など)や担当者までご相談いただくことをお勧めします。
※このコラムは2024年10月16日現在の法令等によっています
-Quarterly Topics 2024/10/16号より抜粋-
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